Murami Mikhail : другие произведения.

私は幽霊と話した

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  小さな友人の幽霊 Маленький друг Призрак.
  
  あの夜はずっと眠れなかった。ベッドに横たわり、天井を見ていた。夜は窓から部屋の中へゆっくりと流れ込んでいた。墨汁のように、暗闇はすべての側面から私を覆った。暗がりを振り払おうとしたが、力は衰え、沈みかけていた。もっと深く、もっともっと深く。。。
  突然、ギターの弦を叩く音がした。弦は、大雑把で不器用に引っ張られていた。金属の音が闇を細かく引き裂き、夜が去っていった。
  私がベッドから降りて、ドアを少し開けてみた。誰かがホールでギターを弾いていた。
  私が、昨夜田舎の家に一人で過ごした。静かな場所だし、誰も入り込めないほど優秀な警報システムも稼働している。
  でも、弦の音ははっきりと聞こえていた。
  一階のホールに降りて、ドアの前でつい固まって動けなかった。
  その時、素晴らしいアイデアが思いついた。それは、ホールに突っ込んで大声で悲鳴を上げようと思った。そうすれば侵入者が怖がって逃げるだろう。
  あわててドアを突き破り、数メートル飛んで部屋を横切って叫んだが
  無駄だった。
  音がする場所へ近づき、体が震えた。ピノキオのようなプラスチックでできているおもちゃが、小さなギターの弦を引っ張りながら椅子の上で座っていた。
  一瞬目を細めたら、おもちゃが消えてしまった。
  自分の臆病さに腹が立った。おもちゃの男子を怖がるなんて?
  今度、私の部屋からギターの音がした。
  「素晴らしい」と私が叫んだ。「まあ、確かに怖かったよ、でももう冗談をやめて、早く出てきてくれ!」
  音が途絶え、少年の声が聞こえてきた。
  「嫌なら、自分が出ていけ!」
  そのとき、私が何をすべきかをよくわかった。
  走るのだ、走るだけだ!
  玄関のドアを開けて、夜に飛び込んだら感じた。
  感じたのは、顔に熱が伝わってくることだった。それから、気を失った。
  
  目を覚ました時、私がドアの前だった。ドアは閉まっていて、窓の外は昼間だった。
  ということで、ドアを叩いて鼻を折った。でも、大きく開いたのははっきり覚えている。
  新鮮な空気を吸いに外へ出たら、男の子がいた。10歳くらいに見えた。
  「昨日の夜、私を怖がらせたのは君だった?」と聞いてみた。
  「退屈だった。」と答えた。「だから怖がらせようと思ったのだ。」
  「君が幽霊なの?」
  「うん」と彼が頷いた。
  「変だね。家の中に幽霊がいると話してくれなかったのは何故でしょう。」
  「それは、誰にも顔を見せないからだ。お前の方が例外だ。」
  「どうして?」
  「まあ、作家なのだから想像力が豊かなのだよね。今のを書いて、内容を磨いて、最後に怖い怪談が出来上がる」。
  同意した。
  「しばらく一緒にいてくれる?」と少年が尋ねた。
  
  チェスやモノポリーなどのボードゲームをしたり、本を読んだり、庭で遊んだりした。一瞬、休暇が2週間しかないことを忘れてしまった。それから新しいゲームを考えた。
  「ちびちゃん、新しいゲームを知っているよ。」
  少年が近づいてきて、うなずいた。
  「お話を聞かせて頂戴。面白かったら、君の勝ちだ。」
  「やってみる。」
  その後、幽霊は私を放っておかなかった。新しいお話がどんどん流れてきていた。次々ともっともっと面白い話だった。
  人間の作家の話と幽霊の話とどう違うか知っているか?幽霊が作った話がみんな真実だ。
  少年は私に幽霊孤児院の話をし始めた。
  「孤児院の管理人さんはとても厳しい。遊ばせてくれないし、読ませてくれない。幽霊にとっての最悪の罰は沈黙だ。何日も話すことを禁じられている。
  私たち幽霊にとって、コミュニケーションはご飯のようだ。孤児院の幽霊はみんな沈黙を恐れている。私は、3日間話してはいけないお仕置きをされたことがある。」
  「3日間だけ?」と私が確かめた。
  「人間の貴方にとっては、たったの三日間だけなのだが、幽霊にとっては、永遠のようだ。結局、耐えられず逃げたのだ。」
  「どうやって逃げた?」と私が驚いた。
  「壁を抜けて夜の中に消えた。」
  「そして、誰もあなたを追いかけてこなかった。」
  「こなかった。」
  「どうして?」
  「しばらく経ってから、理由がわかった。」
  「で?」
  「誰とも話していなかったからだ。」
  「どうして?」
  「一匹狼は好かれないの。私は話し相手が見つからなかった。まあ、この理由で孤児院から逃げる物がいないのだけど。」
  「いつからここにいるの?」
  「一ヶ月前、この家を見つけた。貴方がいなかったら、私はどうなっていたか想像もしたくない。」
  「どういうこと?」
  「まあ、幽霊にしては終わりということだよ。地球のアーカイブから削除されるのだ。」
  「誰が削除する?」
  「それを考えないほうがいい、複雑だから。今の私は幽霊で、情報でもある。でも、情報が削除されると、私も消えるでしょう。ということで、貴方は私を救ってくれたことになる。」
  
  「私はもうそろそろ帰らなくては、」と伝えることにした。
  「じゃ、孤児院までおくってくれる?」
  「どこにあるの?」
  「Short dayとLong nightの間だ。」
  この通りの交差点に何の建物があったのかを思い出し始めたが、パン屋以外何も思い出せなかった。彼は私の考えを推測した。
  「幽霊の孤児院が生きている人には見えないのだ。お店の中を通って、中庭に行くと、古いランドリールームがある。 それが私たちの孤児院のだ。私にとっては、学校や家のように見えるのだ。」
  「分かった。じゃ、行こう。」
  
  休暇の最後の2週間の間、分厚いノートを何冊も書いた。これは、幽霊の友達が話してくれたストーリーだった。止まることなく私に語ってくれた。紙が足りなくなったときに、「ストップ。終わりにしよう。もう無理だ。」と言った。
  少年は理解してくれた。彼が二階へ上り、荷物を集めてホールへ戻った。
  すぐに幽霊と私は、永久に田舎の家から出て行った。今はすっかり空っぽになっているはずだ。
  
  「私のことを忘れないでね」と少年が言った。
  古いランドリールームの前に立っていた。
  「君のお話を全部書いておいた。」
  幽霊は微笑んだ。
  「じゃ、またね」と彼が言った。
  「またいつかね」と私は答えた。
  帰宅したら、コメントやメモを考慮してお話を全て丁寧に書き直した。これで読者のみんなが幽霊の友達のお話を読むことができるでしょう。
  
  クロエ Хлоя.
  
  人生の流れの中で二人の心が一つになる瞬間がある。二つの星のように、夜空を一緒に飛び交う。二人の軌道は決して交わることはないが、お互いに与えたエネルギーは永遠に心に残る。
  別れの時がいつ来るかわからないが、決して避けられないものだ。その際は、お互いに光を与え合い、永遠に離れていくべし。
  温かい思い出を残しておくといい。誰にも分からないが、もしかしたら冷たい親密さの中で温めてくれるかもしれない。
  そばにいる人が幽霊になり、遠く離れている人が親しくなる。
  
  ***
  
  街の中心部にある小さなカフェにいた。
  「何にする?」と聞いてみた。
  「コーヒーグラッセとロールパンで」
  「後は?」
  クロエは左右に首を振った。長いブロンド髪で大きな青い瞳の美少女が見えた。彼女はいつも膝下のニットワンピースに白い靴下と黒いヒールを履いてここにいる。
  コーヒーとパンがきた。クロエが美味しそうに食べ始め、私がカプチーノとフライドポテトを頼んだ。私の好きな組み合わせのだ。ハンバーグを加えれば天下一品になるところだ。
  「クロエ、今夜の予定は?」
  彼女が尋ねなくてもわかるだろうと言う視線を私の方にぱっと向けた。
  
  彼女は毎晩、プードルと一緒に街を散歩していた。鎖につながれた大きな白い犬と幽霊の女の子はお似合いだった。
  「人はいつも急いでいる」とクロエの言い癖だった。「人は遅刻を恐れているが、実は老後を早めているだけなのだ。」
  いつも同意して頷いている私に、少女は言い加えていた。
  「どこへも急がなければ遅刻することはない。」
  人生の話をするとき、彼女はいつもこう言っていた。
  「何百もの顔が私の目を通り過ぎ、何百もの声が私の耳を届き、何千もの匂いが私の鼻に感じ取れられる。そして、すべてが満月に向けて急いでいる。私は幽霊で、貴方たちの世界を違う目で見ている。私とロック君」
  「プードルの名前はロックだったのだね」と初めて犬の名前を聞いて思った。
  
  プードルは私たちのテーブルの下でぐっすり眠っていた。賢い目をした大きな白い獣だった。
  「ロック君、ソーセージを食べるのか?」と聞いてみた。
  「冗談しているのか?」と少女が答えた。「私たち幽霊は食べる必要はない。食べ物を無駄にしないで。」
  私は黙り込み、クロエが新たな格言を話してくれた。
  「虚しさを愛し、力を尽くしても、その虚しさの中にすべての代償が消えていくことがある。虚空に向かって叫んでも、それに応えて沈黙だけだ。そうでしょう?」
  どう答えたらいいのか分からなかった。
  クロエは7歳に見えたが、幽霊の本当の年齢は知らなかった。
  「理解できない」と少女は続けた。「どうして私は隣にいると人間なのに、離れると幽霊になってしまうのでしょうか?どうしてこんな力があるの?貴方は誰?」
  「普通の人間だと思うけど」
  「自分を見下さないで。貴方は有名な翻訳者で、5ヶ国語も話せるのだよ。"普通の人"というのを超えているわ。」
  
  ある日、クロエに聞かれた。
  「バーのお姉さんは私が幽霊だと知っている?」
  「リスちゃんは私のことを知っていて、私はリスちゃんのことを知っている。それだけだ。」
  「なら、知らないのだね。」と少女は結論づけた。「彼女はあなたのことをよく知らないということだね。どうすれば人のすべてを知ることができるのか?必要なのか?どんな人にも必ず何かしらの謎があるといいのに。」
  頷いて尋ねた。
  「クロエ、君は何歳?」
  
  今日は幽霊に会ってからちょうど一年だ。あの日は、いつものようにお気に入りのカフェで座っていた。 リスちゃんは、私にコーヒーを注いでくれていた。二人で下らない事をおしゃべりしていた。窓の外は、秋の雨が霧雨のように降っていた。通りの向こう側は、屋根の下で小さな女の子が立っていた。彼女は白いおもちゃの犬か熊かを抱っこしていた。
  「リス、女の子がいる。」
  「雨のせいで何も見えないわ。」
  もう一度見てみて言った。
  「おもちゃの熊を持っている女の子がいるに違いない。あのう、大きなタオルを持ってきてくれる? 」
  リスちゃんが取りに行ったら、私は外へ急いで出た。
  数分後、子犬を抱っこしていた小さな女の子をカフェに連れてきた。
  リスちゃんがタオルを持ってきてくれたので、子供を頭から爪先までタオルで羽織った。
  「お名前は?迷子になっちゃった?寒い?」
  口から質問がどっさりと出てきた。少女はしばらく耳を傾けていたが、その後落ち着いて答えた。
  「迷っていないし、お腹も空いていない。貴方が望んでいたから来た。」
  何を言えばいいか分からなかった。
  
  「クロエ、君がおいくつ?」と繰り返して聞いた。
  「私は7歳だよ。」と元気に答えたら、悲しそうな声で付け加えた。
  「分かるかなぁ。今貴方と一緒にこういられてうれしいのだ。今みたいに同じテーブルで。この先はどうなるか分からないので、この瞬間を大切にしてほしい。貴方は写真家だと想像して、その瞬間の写真を撮って一生の記憶にとどめておくといい。」
  彼女は絶対に7歳じゃない。子供があんな話し方ができるわけない。
  リスちゃんが近づいてきて、隣に座った。
  「何の話?」と聞かれた。
  「人生についての。」と答えた。
  「つまらないね」と彼女ががっかりしたように言った。「映画や音楽のことだと思っていた。」
  「リスおばさん、」と少女は尋ねた。「人にしてくれないでしょうか。」
  リスちゃんは私を見たら、彼女が疑問を一つ持っていたようだった。それは、「何が起きているの?」という疑問だ。
  「リス、聞いて頂戴、この子は普通の子じゃないのだ。彼女は幽霊で、この町で一番孤独な幽霊だ。」
  リスちゃんは少女を見てこう言った。
  「どうして何も言わなかったの?」
  「話しても、何も変わらないわ。」
  「なるほど」とリスは言った。
  この言葉を聞いて、ロック君ですら目を覚ました。
  「クロエ、どこにも行かないでここにいてくれ。そして、あなたは私についてきて、車のことで手伝ってちょうだい」とリスちゃんが私を指で差して頼んだ。
  「でも、車を持っていないでしょう?」と私は驚いた。
  「もう、持っている!」とリスちゃんが私の手を引っ張ると、私は椅子から飛び起きた。
  
  「車はどこだ?」
  私たちは喫茶店の裏の空き地に立っていた。
  「彼女は本当に幽霊なのか?」とリスちゃんが質問してきた。
  「そう、普通のゴーストベイビーだ。」
  「他の人には彼女が見えないのか?」
  「そう、リス、君と俺だけだ。」
  「私たちだけ?」とリスは確かめた。
  「そう」
  リスちゃんは私を見て言った。
  「今週末、クロエと一緒に遊びに来ないか?」
  私はうなずいた。
  
  リスちゃんはいい子だけど、カップルになれない。喫茶店で会って、閉店時間まで数時間ほどおしゃべりして帰るだけのだ。家まで見送ってあげることすらない。彼女が自分でそう頼んだ。恋に落ちて常識を失うのが怖いのかもしれない。
  彼氏がいるかどうかもわからない。そして、彼女は私のことも何も知らない。でも、そちらの読者さんに自分のことを教えてみる。信頼してもいいよね?
  私は30歳の翻訳者だ。5ヶ国語を話し、大学で働き、一人暮らしをしていて、車が嫌いだ。みんながそれぞれ自分の役割を果たすべきという風に考えている。私の役割は外国語のだ。ドライバーの役割は車を運転することのだ。賛成していないかもしれないが、これは私の主義だ。私の記憶は膨大な数の外国語の単語を持ち、空きスペースはもうない。
  自分の分野の達人になれば、すべての道が開かれるでしょう。
  リスちゃん家のドアは閉まっていた。
  「もう一度ノックしてみたら?」とクロエは提案した。
  「はーい!」と後ろから声がした。
  もしかしたらリスちゃんも幽霊なのかもしれないとつい思った。
  「お待たせ」とリスちゃんが心配して言った。
  「いいえ」とクロエが答えた。
  「では、中に入ってもいいかな」と私が言い、リスちゃんがドアを開けてくれた。
  喫茶店の店員にしてはすごすぎる家だった。小さなアパートには、旧世界の本が全て保管されていた。ヨーロッパ各国語の古書が棚に整然と並べられていた。
  「言わなかったね。」
  「休みの時間の過ごし方。歴史雑誌の記事を書いたり、ラテン語を少し翻訳したりしているよ。」
  「喫茶店でのお仕事は?」
  「普通の人の中で目立たないようにするためだよ。わかるかな?」
  私が頷くと、クロエが尋ねた。
  「リスおばさん、夕食は?」
  リスちゃんはウインクして答えた。
  「最近、古代フォリオの翻訳をしていて、珍しいレシピを知った。」
  リスちゃんは頭がいい子だと分かったが、なぜ彼女が私たちを呼んだのかは謎だった。
  「リスおばさんのチキンリブは美食の芸術の傑作だわ!」
  「シーザー様のレシピだよ。」
  「アヴェ、シーザー様」とクロエは口をそろえて言った。
  「クロエ、そんな言い方はよくない」と私が教えた。
  少女は笑った。
  「私の場合は、お行儀の話はしない方がいいと思う。幽霊なので、すべてが見えて、すべてを知っている。しかし、私の経験では、そのような人生が退屈ですぐ飽きてしまう。何でも知っていて、どこにでもいながらも、黙っていること、何も言わないことこそ一番悔しいのよ。人の悩みの種の捨て場になってしまった。大きな老朽化した捨て場のだ。」
  「クロエ、そんなこと言わないで」とリスちゃんは言った。「私たちはあなたのことが好きだし、大切に思っている。君は私たちが最も愛する幽霊のだ。」
  リスちゃんが私の方へ視線を向けた。
  「私もそう思うよ。」
  「なら、私たちの知事の秘密を教えてあげる。」
  「リス、私たちを遊びに読んだ理由は何?」と、幽霊の話を邪魔してしまった。
  クロエは起こった顔で私を見たが、何も言わなかった。
  「貴方たちともっと仲良くなりたかったためだよ。普段、家でくつろいだ時、どんなひとかを知るためだった。」
  「私には家がないの」とクロエは注意した。
  「そして、私は大きな鼾をかいているよ。」と私が言い加えた。
  「なるほど」とリスちゃんは言った。
  私は思わず微笑んでしまった。
  「リス、私は一人暮らしをしている。君が働いているお店でコーヒーを飲んで、その他の時間は仕事だ。」
  リスちゃんは頷いた。
  「そういえば、私は犬が大好きなの」とクロエは言った。
  「じゃ、一緒に暮らそう?」とリスちゃんが進めた。
  どの言語のでも言葉を失った。
  
  そろそろ帰る時だった。クロエが先に歩き、私は後ろをよちよち歩いていた。突然、少女は立ち止まり、私の目を見て尋ねた。
  「彼女と一緒に暮らしたい?」
  私はうなずいた。
  「なら、私が消える。」
  「いけないの?」
  「そう、ダメ」とクロエは声を大きくした。「二人は自分だけの生活ができ、子供も生まれ、愛であふれた生活を送るでしょう。」
  「できるかな。」
  「私たちが出会ったのに何かしらの理由があったではないかと思う。あなたは私を必要とし、私はあなたを必要としていた。運命が私たちを会わせてくれたのは嬉しいのだが、今はお別れの時だ。」
  「君は?」
  「幽霊には過去も未来もない。私にとって、時間というものはただの音に過ぎない。別の人に見えるようになり、あなたは別者になる。世界が変わっていくのは必然のだ。人生と呼ばれるバスのハンドルをしっかり握って頂戴。」
  「いつ消えるの?」
  「リスおばさんの手を握ってキスをしたときだ。キスになって、彼女の唇の上で溶けて消えていく。」
  一年後、リスちゃんと私には娘が生まれた。
  
  鯉 Кои.
  
  「とても静かに座っていれば、魚は必ず岸まで来てくれるよ。」
  「じゃ、とっても静かに座るよ」とナオカが言った。
  「寝るなよ、お嬢ちゃん」とパパが笑った。
  「約束する!」と娘が叫んで湖の方へ走った。
  ナオカが岸辺に薄手の毛布を広げ、うつ伏せになって待っていた。
  水は透明だった。小さな女の子が色とりどりの小石や貝殻、金色の砂を見ていた。時々、緑藻やヒゲのあるエビもあった。
  30分がしたら、ナオカはあくびを始めた。1時間が経つと、彼女はもうぐっすりと寝ていた。
  その時、色鮮やかな魚が見えてきた。背中に赤、白、黄色の斑点が交互に入っていた。これは、最も純粋な淡水で生きている美しい魚でもいる鯉だった。
  魚はしばらく土手に沿って泳ぎ、少女を見たら去っていった。
  ナオカは最後の一匹の尻尾を見ることしかできなかった。
  「もう。寝ちゃって全部を見逃してしまった。パパがまた私をからかうでしょう。」と少女はがっかりしていた。
  ナオカは毛布を畳んで家へ帰った。
  「毎回こうなのだ。面白いものを見たいと思うたびに、必ず寝てしまう。」と少女が思った。「一睡もしないことが出来ればいいのに。睡眠っていったい何のためなのでしょう?」
  
  「そんな悲しそうな顔、どうしたの?」と母が夕食時に尋ねた。
  ナオカはパパを見た。
  「うちの子は魚を見たかったが、浜辺で居眠りをしてしまった。」
  「まあ、次の機会に必ず見られるよ。」
  「ママ、湖に行くのはもう5回目だよ。毎回寝ちゃう。寝ないで鯉が見たいの。」
  「きっと見られるわ。夢の中とか。」
  「夢の中じゃ、嫌だ。今すぐ見たい。」とナオカはぐずった。
  「私の可愛い娘、もう遅いよ。魚はみんな寝ているわ。」
  両親は台所で静かに話していて、ナオカはベッドに入ったがなかなか眠れなかった。
  そして、少女は魚の数を数え始めた。1000匹を超えたら、ナオカは諦めた。
  「もう眠れない。」
  突然、7歳児の頭の中に素晴らしいアイデアが浮かんだ。 ナオカはベッドから飛び降りたほど興奮していた。
  「眠れないなら、鯉が見られるよ」と気付いた。
  少女は提灯を手に持って、慎重に部屋を出て行った。廊下に向かい、両親は眠っていた。
  時計の針が3時を指したままだった。夜の森は暗かったが、生き生き感がなくなっていなかった。猛禽類が羽ばたきをし、美しい蝶が花に受粉し、キツネが泥だらけの巣穴であくびをしていた。
  ナオカが湖に近づくにつれ、蛙の鳴き声が聞こえてきた。彼女は蛙の露骨な話し方を理解していなかったが、音が歌のように聞こえていた。
  ナオカが水に近づくと、蛙が岸から飛びおりて夜の中に消えていった。ランタンの光線は、湖の底や表面の小さな部分を照らしていた。少女は上着を羽織って、待つことにした。
  朝の5時にとても寒くなってきた。ナオカは霧のかかった岸辺で震えて待っていたが、魚は見えてこなかった。
  何もすることがないまま、少女は蛙のような鳴き声をし始めた。蛙が何匹か呼びかけに振り向いた。日が上がり始めた頃、ナオカは家に帰った。自分の部屋にコッソリ忍び込み、持っていた毛布にくるまって、目を閉じずに長い間横になっていた。時計の針が10時を指したら、母がきた。
  「おはよう!よく眠れた?」
  「ママ、徹夜をしちゃった。」
  「あら、どうして?」
  「眠り方を忘れたみたい。」
  「それは有り得ない。みんな寝るのだよ。」
  「 昨夜は眠れなかった。」
  「そっか。ナオカ、朝ごはんを食べよう。そこでお話を聞くわ。」
  
  「あなた、ナオカは徹夜だったのだって。」
  パパがナオカをよく見て聞いた。
  「それは本当?」
  娘は頷いた。
  「だったら少し散歩した方がいいよ。」
  「みんなで湖まで行ってみようか?」
  「もちろんよ」とママは言った。
  ナオカと両親は、コテージ村のはずれに住んでいた。父が毎日都会に出勤して、母が庭の手入れをしていた。ナオカが小学生だった。他の子たちと一緒にバスで登校していた。
  村の端で森が始まり、森の奥には大きな湖があった。この湖は、浅い場所と大きな湖と古い湖の3つの部分があった。鯉は浅いところに住んでいた。この魚は村の多くの人々のお陰で生きていた。村の人達がしばしばこの素晴らしい魚を見に来ていた。各家庭にはそれぞれお気に入りのスポットもあった。
  ナオカの家族は登山道近くの浅い岸辺から魚を見ていた。登山道は湖を囲み、森の中を通って家へと続いていた。迷子になるのは不可能だった。
  「あれ?魚はどこ?」と母は疑問に思った。「いつもたくさんいるのに。」
  「パパ、どうして魚が隠れたの?夜も見えなかったのだ。」
  少女は手で口を閉めた。そのしぐさで彼女が何かを隠していることがバレた。
  「もう夜の散歩はしないよ。」とパパは慎重に言った。
  ナオカは頷いた。
  母は何かを付け加えようとしたが、パパに止められた。
  夕食後、ナオカは部屋で読書をしていた。ゆっくりと、時計の針が10時に近づいてきた。少女はあくびを始めたが、またなかなか眠れなかった。それから彼女はただベッドで横になって天井を見つめていた。
  
  ナオカが寝てはいなかったが、考え事は消えた。これは、まるでポケットからパンくずが全部放り出されたかのようだった。これは一つの現象に集中するときの瞑想でもなく、これは絶対的な虚無であった。
  その虚無の中でゆっくりと恐怖が生まれた。少女は、いつまでも空っぽの殻になってしまうことに怯えていた。彼女は自分の内面を永遠に失うことを恐れていた。
  パニックが起こり、解決策を必死に探し始めた。
  少女は歌を歌ったり、子供の頃の話を思い出したり、色とりどりの魚を想像してみたりし始めた。
  少しずつ、恐怖は消えた。
  突然、ナオカは水しぶきと、ゴリゴリと、微かな振動を聞いた。暗い部屋の中を2~3匹の魚が泳いでいた。
  鯉が部屋の空間全体を埋め始めた。一匹が少女の鼻先まで泳いできた。ナオカは鯉がエラをバタバタさせる音が聞こえてきた。すると少女の空っぽの頭の中に魚が泳いできたと感じた。。。
  
  ナオカは森の中へ走っていた。彼女は自分の世界を取り戻すためなら何でもする気だった。茂みは彼女の腕を痛々しく引っ掻き、古い根は彼女の足を掴み、クモの巣は彼女の顔に張り付いていた。
  虚空からの脱出?でも、どうやって自分の中にあるものから逃れるのか?
  湖畔でナオカは叫んだ。悲鳴が虚無の心に突き刺さり、思考が戻った。
  今、少女は岸辺に座って蛙に話しかけていた。ナオカはすぐに自分が蛙の少女だと分かった。彼女が喜んだ。
  「蓮の葉の上に座って魚を見よう」
  少女は水草の葉を拾い、その上に座り、湖を見つめていた。
  「今度こそ絶対に鯉を見られるよ。」
  ナオカは地面の湿り気も、冷たい空気も、お腹の痛みも感じていなかった。。。
  誰かの強い手が彼女の体に触れ、掴み、居心地の良い葉っぱから引きずり出した。少女は抵抗したが、新しい手が加えられた:柔らかくて優しくて暖かい手だった。ナオカは暖かさに包まれて気を失った。
  
  少女が目を覚ましたとき、見慣れた壁があった。彼女の部屋、彼女の写真やおもちゃもあった。ナオカは目をまた閉じて、自分の考えを聞いていた。何もかもいつも通りだった。それから自分の体を見た。腕には擦り傷があって、足は打撲で痛んでいた。少女はベッドから降りて、ゆっくりと台所へ向かった。
  「起きた?」と母が尋ねた。
  ナオカが頷いてテーブルに座って言った。
  「元気になったよ。でも、昨日のことは何も覚えていない。」
  「昨日は昨日のことだよ」と父が言った。「昨日のことはもう過去のことのだ。」
  「ナオカ、街に帰ることにした。」
  「そう。夏までそこにいて、そのあとまた自然の豊かなここへ戻ろう」とパパが付け加えた。
  「出発前に鯉を一度見てみたい。」
  「いいよ。」とママが答えた。
  「振り向いてごらん」
  ナオカは振り向いた。
  父が新聞を読んでいて、母がスープを作っていて、色とりどりの魚が部屋中で浮かんでいた。鯉はエラをバタバタさせたり、ヒレを動かしたり、口を開けたりしていた。
  「そして、湖まで走る必要はない」とママは微笑んだ。
  ナオカは外に走り出した。そこら中にも魚がいた。世界中が魚で埋め尽くされていた。地球全体も、宇宙全体も、銀河全体もそうだった。
  
  ***
  
  ナオカはゆっくりと目を開けた。周りは暗かった。彼女は頭痛がしていた。手を伸ばしてセンサー付きのナイトライトを付けた。それから水を一口飲んだ。
  「あ、パソコンの電源を切るのを忘れた。」と少女は思った。システムボックスのライトがアラームのように点滅していた。ナオカは時計を一瞥した。
  「朝の5時だわ。嫌だ、数時間でもう仕事に行かなくちゃ。」
  若い女性は毛布にくるまり、夢の切れ端を思い出し始めた。言葉、フレーズ、セリフなどをナオカが携帯のメモに打ち込んだ。どんな細かいことでも、朝の夢を思い出すのに役立っていた。
  夢は色々ある。すぐに忘れてしまう夢もあれば、忘れてしまいたい夢もある。しかし、中には特別な夢、物語のような夢がある。このナイトファンタジーは面白い物語や小説や本などの元になる。
  ナオカがテキストを打ち込んでいた。イメージの流れに文字が集まっていた。
  「私は、湖の近くに座って鯉を見たがる小さな女の子だ。最近、水族館で鯉を見た。それから眠ることが出来なくなる。一日で限られている時間が足りる人はいるか?その後、心病み、部屋中にいる魚が見えるようになる。恐怖、脱走。
  湖で蛙と話す。パジャマを着たままで、濡れた葉っぱの上に座っている私は両親に見つかる。目が覚めて台所に行き、親と話をする。突然、部屋中に魚が現れる。。。」
  ナオカは寝てしまった。
  目覚まし時計に起こされた。起きて、朝のことをこなして家を出た。近代的なマンションの外でタクシーが待っていた。
  「出版社まで」とナオカは言い投げた。
  運転手は頷いた。
  若い女性はウルトラブックを開き、夜の文章を編集し始めた。
  「面白いね。この夢は短編小説に書き換えられるかもしれない。」と彼女が思った。「雑誌に載せるかもしれない。」
  
  高いオフィスビルが太陽の光を受けてキラキラと輝いていた。ナオカはタクシーから降りた。すぐに人の流れに圧倒された。ブリーフケースを持つビジネススーツ姿の男たちや小さなハンドバッグを持つエレガントなスカート姿の女たちが大勢職場へ急いでいた。
  ナオカは30歳で、海外旅行の雑誌の大手出版社で編集者を務めている。
  
  葉っぱのありがとう Аригато в шелесте листьев.
  
  「プレゼントを乞うことは絶対にしないこと。プレゼントしたいという気持ちを持つ人は、頼まれなくても自分からする。分かった?」
  久美子はそれに応えて頷いた。
  久美子の両親は工場で働き、少女は家事を手伝っていた。幼い頃から小さなことを楽しみ、優しさと友情を大切にすることを学んだ。このような育ちのため、自然の精霊は人間界の友人として久美子を選んだのだ。
  その日、少女は15歳になった。彼女はいつも通り自宅の近くの静かな公園で野良猫に餌をやっていた。普通の動物たちの中で、久美子は不思議な生き物を見つけた。
  人間界に猫の形をした花霊が現れた。全身が本物の花で覆われていた。
  「私は花の精霊です。」と精霊は言った。
  「私は、久美子です。」と少女は挨拶してお辞儀をした。
  「久美子さん、偉い精霊からのメッセージがあります。」と霊が始まった。
  「はい。」
  「精霊様らは久美子さんが人間界の友達になってくれることを願っています。」
  
  「チリン〜」とベルが鳴った。久美子がドアを開けた。
  「父さん?どうしたの?」
  「私は、花の精霊です。」と父が答えた。
  「何それ?」
  「久美子さんの家から出てくる男の人が見えました。貴女と話すために彼の姿になりました。」
  「私の父ですよ。」と久美子は厳しく言った。
  「すいません、久美子さん、もう二度としません。」
  久美子は微笑んで家へ招いた。
  「どうぞお入りください。」
  花霊はソファに腰を下ろして尋ねた。
  「どんな姿になって話せばいいのでしょうか?」
  久美子は答えた。
  「本物の姿を見たいです。」
  「おやすいご用」
  明るいフラッシュのようだった。久美子は目を閉じてまた開けると、見た。何も無かった。
  また明るいフラッシュがあって、今度生きた花に覆われた猫がソファの上にいた。
  「見られなかったです。」
  「私の本当の姿は見ることが出来ません。どんな瞬間も死に、どんな瞬間もまた咲きます。」
  「分かりました」と久美子は言った。「精霊様の言葉を理解しています。」
  「だからこそ、人とコミュニケーションをとるのに久美子さんに手伝ってほしいと思っています。」
  「でも、何を、誰に言えばいいですか?」
  「伝えてほしいのは本当に少ないです。」
  咲き誇る精霊が前足を広げ、巨大な山のような巻物が床に現れた。
  「それは何ですか?」
  「精霊たちは、人間への願いを伝えるように頼みました。各精霊からのリクエストを1つずつでした。しかし、誰も私の話を聞いてくれませんでした。」
  久美子は一冊の巻物を手に取ってほどいてみた。
  「一つのリクエストだけでもこれですか?」
  「言った通り、誰も我々の言うことを聞いてくれませんでした。」
  久美子が読み始めた。
  「私は、地球の精霊です。私を掘り起こさないように人にお願いしてほしいです。掘られると、眠れません。全身が震えてしまいます。」
  久美子は数年前に起きた地震を思い出しました。
  「かわいそうな地球の精霊」と久美子は言った。「しかし、どうすれば彼の願いを叶えることができるのでしょう?誰も私の話を聞いてくれません。」
  「久美子さん、地球の精霊さんはあなたに頼っています。」
  久美子は他の巻物を読み始めた。水の精霊は水を大切にして川からは取らないように、空気の精霊は工場などの高い煙突を取り除いてほしいとお願いしていた。
  「久美子さん、精霊らに何の返事をすればいいですか?みんなが貴方の答えを待っています。みんなが貴方の保護を願っています。」
  久美子は悲しそうに微笑んで言った。
  「精霊様、私には地球上の全ての人を止めることはできません。誰も私の話を聞いてくれません。」
  猫の目から涙が流れてきた。久美子は隣に座り、精霊の体に触れ、生きている花を撫で始めた。
  「ごめんなさね。本当に何もできません。私にできることは本の少しです。」
  「もちろん、少しだけでいいです。」と精霊は嬉しそうに言った。
  静かな公園の芝生の上で久美子は猫を撫でていた。やがて花の精霊が草の上に飛び、別の猫が久美子の膝の上に登ってきた。
  「私は空気の精霊です。」と猫は言った。
  久美子は空気の精霊を撫で始めた。
  夕方になると、久美子は家へ帰った。葉っぱのせせらぎの中から静かな声がした。
  「ありがとう。」
  
  夢の庭 Сад изящных снов.
  
  空から雨の大きな粒が降ってきて、見晴らし台の鉄の屋根にぶつかっていた。
  この場所は夢の庭という愛称だった。有名なアニメに登場することはここにもあった。
  梅雨に多くの独身女子がここで運命の人を待っている。彼女たちが愛の物語を繰り返し、アニメのプロットを現実になることを望んでいる。
  いつも同じ一日で、話す相手がいないとき、人は待つことしかない。誰もいないアパートで泣きながら待つだけだ。
  
  ユキのアパートも空っぽだった。キッチンにはやかんと冷蔵庫があり、寝室にはベッドとナイトスタンドがおいてあった。書斎室もシンプルで、机と椅子とパソコンしか置いていなかった。
  若い女性は27歳の児童心理学者だが、子どもとかかわる仕事をしていない。
  5年前、卒業論文を発表した後、すべてが変わった。
  グローバルのエネルギー爆発で、身近な現実が破壊された。それはまるで、恐怖とコンプレックスでできた巨大な物が一瞬にして爆発したかのようだった。
  ユキの脳内には、人、出来事、現象が溢れていた。過去と未来、現在と偽物。彼女の人生は永遠に変わった。
  そうしてユキは作家になった。
  今は、週に2、3回現実から離れる。見知らぬ人の声を聞き、遠い国を想像し、空間と時間を感じる。
  ユキは毎日、半意識状態で書かれた文章を山のように多く読み解く。時には思考に完全に支配されてしまい、家にこもって朝から晩までライティングしている。
  ひらめきがなかなか現れないこともある。
  ある日、ユキはアニメ映画「...の庭」を見た。ユキは自宅の近くにある公園で同じような見晴らし台を見つけ、そこで静かな日々を過ごすようになった。
  
  そこで、彼女はただの風の音や鳥のさえずりを聞き、恋に落ちたカップルを見ているだけだ。
  「大丈夫ですか?」
  ユキは目を見開いた。
  「何かあったのですか?」と近く通っていた人がもう一度訪ねた。
  「あ、居眠りしちゃいました。どうも。」とユキは答えた。
  「そうでしたか。少し青ざめていて、しかも独りぼっちで、何かあったのかと思ったのです。」
  「あ、それは寝不足のせいです。」
  「してはいけないことだ。」と見知らぬ人は言った。「睡眠は私たちの思考が正しい形になるのに手助けをしていますよ。イメージがはっきりでよく見えるようになります。睡眠は脳を休息させてくれるのです。」
  「どちら様ですか?」とユキが尋ねた。
  「夢作りをしています。ここの庭は私の職場です。」
  「それは、本当ですか?」 と少女は驚いた。
  「寝不足になると、何だって可能ですよ」と彼は頷いた。
  「やっぱり、今のは夢なのかな?」
  「イエスともノーとも言えます。」
  巨大な灰色のサギが羽を振り、空から雨が降ってきて、雷が鳴った。ユキは目を見開いた。若い男が彼女の肩を揺らした。
  「大丈夫ですか。ここを歩いた時、何かつぶやいていたのだが。」
  「大丈夫です。」と彼女が繰り返した。「それは寝不足のせいです。」
  「してはいけないことだ。」と若い男が言った。「睡眠は体を長生きさせる働きをします。」
  「知っています。」
  「知っているなら、目をつぶるといいですよ。」
  ユキは再び目を閉じた。
  
  木々から葉が落ち、大きな鳥が南へ飛び、雪が降り、霜が降り、雪が溶け、木に蕾が咲いた。
  ユキは目を見開いた。彼女は家のベッドで横になっていた。隣には男の人がいた。
  「ユキ?」
  彼女が瞬きをした。
  「日本?」
  彼女は頷いた。
  「2020年?」
  彼女はまた頷いた。
  「ムラミです。お名前?」
  「ユキです。」
  「俺は30歳です。ユキさんは?」
  「27」
  「作家ですか?」とムラミが尋ねた。
  「はい、そうです」と彼女は答えたら、尋ねた。
  「どうやって私の部屋の中に入ったのですか?」
  「公園のベンチで寝ていましたね。バックの中に書類が入っていました。」
  「よく覚えていません。」
  「ぐっすり寝ていた証拠ですね。」
  「はい、最近あんまり寝てないのです。大都市の孤独についての本を書いていました。」
  「お腹が空いていませんか?」
  「空きました。」
  男は慎重に点滴を転がした。
  台所でムラミが電話をかけた。
  「もしもし」
  「医者のムラミですが。」
  「お世話になっております。」
  「ユキさんが起きました。」
  「彼女には何も言わずに、計画に従ってください。」
  「分かりました。」
  ムラミはコーヒーを持って部屋に戻った。
  「ありがとうございます。」とユキが言った。「気分が良くなってきました。だいぶ良いです。」
  「ちょっと出てまた来ます。」
  彼女は頷いた。
  ムラミは書斎室へ行って心理学の学位を取得するため論文を書き続けた。モニター画面にはユキの部屋が映っていた。彼女は半年間昏睡状態だった。
  
  ユキが目を開けると、隣には医者のムラミがいた。
  「夕食を作るからキッチンに来てください。ユキさんのものはここにあります。」
  彼が出て行くと、ユキは素早く服を着て、自分の書斎室に入った。
  「いつから私の書斎室で住んでいますか?」
  そして、彼女は自分の時計をちらりと見た。
  「この時計は半年早いですね。」
  「そうですね。さあ、台所に来てください、夕飯が出来ましたよ。」とムラミが言った。
  しばらくすると、ユキは完全に体力を回復し、パソコンで下書きの整理までし始めた。
  一週間が過ぎ、ムラミ医師は彼女の半年間の昏睡状態について話した。彼は彼女を夢の庭の見晴らし台で見つけた。
  
  その後、二人は同居を始めた。ムラミは有名な医者になり、ユキはミステリー物語の著者になった。
  あの見晴らし台はとっくになくなって、今はそこが魚の池になっている。そこでは、ノートパソコンを持った女の子とカメラを持った男をよく見かける。ユキとムラミ医者だ。かわいいミドリちゃんの母と父のだ。
  
  マリカとルー
  
  「雨上がりの暗い道を猫の目をした少女が歩いているうわさがある。」
  「ただのおとぎばなしだよ。」
  「あの女の子の話をしてくれたのは全く子供ではなかった。若いけど白髪がある男子たちだった。」
  「じゃ、話して」
  「彼女は普通の子だったそうだ。学校に行ったり、友達と遊んだり、彼氏と付き合ったりしていた。しかし、二十歳になるとすべてが変わってしまった。」
  「何があったの?」
  「彼女は黒の野良猫を拾った。」
  「まあ、女の子もんね。」
  「その日から二人の友情が始まった。」
  「それから何があったの?」
  「ある日、女の子が猫のような目をして起きたと言われている。」
  「野良猫は?」
  「猫の方は、目の代わりに毛が生えていた。全くなかったかのようだった。」
  「不気味だね。」
  「だが、少女は鏡に映った自分の姿を見ることができなかった。」
  「どうして?猫は目がいいのはずだよ。」
  「猫には自分の目が見えないって知らない?」
  「それってどういう意味?」
  「まあ、君は自分の目が見えるでしょう。」
  「もちろん、鏡を見ればね。」
  「だけど、猫は鏡に近づくと、自分の姿ではなく、他の猫の姿が見えるのだ。ここで結論:猫は自分の目を見ることが出来ないということだ。」
  「変だね。」
  「まだまだあるよ。この女の子は不登校子になり、友達や彼氏と付き合わなくなった。彼女は違う目で世界を見るようになった。」
  「黄色ってこと?」
  「緑だ。想像してみて、世界全体が緑だよ。緑色の何万もの色合いがあったでしょうか。野良猫はずっと彼女について行った。彼女の親はどうしたらいいか困っていた。」
  
  ***
  
  ある日、少女は言った。
  「母さん、父さん、私をほっといて、私無しの新しい人生を送ってください。新しい子が産まれるように。」
  「貴方は?」
  「大丈夫だよ。」
  猫は少女の膝の上でふみふみをしていた。
  「必要なのは食べる物だけ。」
  親は同意した。それから猫の目をした少女は昼間寝て、夜街を歩き、通りかかる人を怖がらせるようになったのだ。
  
  ***
  
  「彼女は幽霊じゃない!」
  「もちろん、幽霊じゃない。彼女がどこに住んでいるかさえ知っているよ。見せてあげようか?」
  友人は熱心に私を見ていた。
  「はい」と遂に答えた。
  「じゃあ、行こう。」
  
  街外れには、瓦の屋根、石の壁、ガラスの窓の三階建ての家があった。庭の外周には彫られた鉄の柵があった。
  ヴィンテージのゲートが軋んで開いた。窓から影がチラリと見えた。ドアが開いた。
  「私たちは歓迎されたみたい。」
  一階では照明は薄暗く、隅にはクモの巣があり、家具には大量のホコリが、床には何百年も前の汚れが付着していた。二階への階段は古くて軋みそうだった。
  やっぱり、踏むと軋んだ。
  「誰かいるの?」と二階から誰かの声がした。「緑の人たちがまた会いに来てくれたのかな?遠くからでも聞こえているよ。恐怖に駆られて逃げて頂戴。」
  「いいえ、私たちは恐れていない。」と私の友人は反論した。
  「何だと?」と声が答えた。「どうして?」
  「人を恐れることなんてないよ。狼や虎を恐れるべきだ。」
  「私は幽霊で、悪夢の主人公だ。そして、今そちらへ降りるよ。」
  私は少し尻込みしたが、友人はウィンクをした。 見ろって意味だった。
  そして、きれいな靴、長ソックス、スカート、とても白い手のひら、白いブラウス、細い首、唇、鼻、猫の目をした美少女の顔を見た。
  「私は怖くないの?」
  友人は微笑んで聞いた。
  「マリカ、元気か?」
  冗談に付き合っている場合ではなかった。
  「おい、リック、冗談じゃないぞ?知り合いなのか?」
  「ええ、高校時代からの知り合いだ。」
  マリカが近づいてきて言った。
  「リッキーは高校時代の友人。彼だけが私を置いて行かなかった。食べ物などを持ってきたりしてくれた。」
  「あ、目のない猫は?」
  「キティちゃん!」とマリカが呼んだ。
  階段の上に目のない上品な黒猫が現れた。
  「リック、ルーにお友達を紹介して」
  「ルーは女の子だ。何も見えないのだ。ルーは、マリカが世界を見ることができるように、自分の目をあげた。小学5年生のとき、女の子は目の病気が進行してきたので、ルーはマリカに目をあげた。」
  「それ以来、世界は私にとって緑色になった。」
  「でも、ルーはヒョウなのか?」とまた私が驚いた。
  「私にとってルーは友達で、けっして動物ではない」とマリカが説明し、リックが付け加えた。
  「ルーは肉を食べないので、気にしなくても大丈夫だ。」
  「頑張ってみる。」と私は何とか言えた。
  「まあ、今日はここまで」とマリカは言った。「また明日来てください。寝る前に人を怖がらせなくちゃ。」
  
  ***
  
  「何故彼女が?」とリックは言っていた。「彼女のことをよく知っている。彼女には普通の暮らしって無理だよ。」
  「貴方は厳しすぎる。」
  「現実主義者に過ぎない。彼女の成長を見てきたから知っているのだ。」
  「それでも、彼女のことが好きだ。」
  「頑固だなぁ。」
  「そちらこそ」
  私たちが川を見ていた。土手は穏やかで、水は一方向に流れていた。
  リックは言った。
  「貴方と私は友達だよ。一人にしないからね。マリカも一人にしない。」
  「彼女、好き?」
  「妹のような存在だ。」
  それに応えて私が頷くと、友人が付け加えた。
  「俺の彼女が君にマリカを紹介してあげてと頼んだの。」
  「それって本当?」
  
  ***
  
  「ソラ、貴方なの?」とマリカが聞いた。
  「はい、俺だ。」食べ物を持ってきた。
  「そのままにして、二階においで。」
  床板が足元で軋んだ。
  二階に上がったときはびっくりした。すべてのドアが開いていて、どの部屋も完璧に掃除されていた。ライラックとマーマレードの香りがしていた。
  マリカの部屋は広くて明るかった。ベッドに机とノートパソコンもあった。何もかもが普通の家と同じだった。
  「驚いた?」
  「驚いたどころか。一階とは大違いだ。」
  「招かれざる客のために頑張ったよ。ちなみに、一階はそのままにしておいて。伝説を台無しにしてしまうから。」
  「何の伝説?」
  「古家の幽霊の」
  「なぜ現実から逃げたの?どうして普通の生活を送らないの?」
  「私の中で何かが破裂して、ひび割れて、壊れたの。現実世界では、自分自身のものじゃないかのようだ。一生ルーのものだ。彼女は異世界への案内者。」
  「それでも君の人生は私のと大きく変わっていないし、サングラス等をかけていれば日中でも外に出られるよ。」
  マリカはしばらく私を見てから言った。
  「そうなのだけど、一人で暮らし、一人で夜の散歩をすることが好きなんだ。」
  「なら、私はただとなりにいるね。」
  「ソラ、なんで私なんかにかかわるの?貴方は大丈夫だよ。私にはルーと霊界と夜の街並みで十分なの。」
  「もう夜の散歩や異世界はなーし。私は君を一人にさせない。」
  「ルーと両親とリックがいるから一人じゃないよ。」
  「君の夫になるって!」
  「ソラ、どうしたの?お互いをほとんど知らないし。」
  「君を見た途端、恋に落ちたのだ。」
  マリカは黙っていたが、それから聞いた。
  「その方がいいって言いたいの?」
  マリカのところに来て、抱きしめた。彼女のほっぺが書かくなった。
  「ソラ、何考えているの?」
  「君のことだ。」
  ルーはマットの上でグルグルして、マリカは微笑んだ。彼女の巨大なアーモンドピーチの目は炎のように輝いていた。
  
  ***
  
  大晦日にファストキスをした。
  「私のファストキスは、貴方のものになった。」と彼女が言った。
  元日に夫婦になり、二度と別れることはなかった。
  
  ***
  
  ルーに何があったのかは知らない。そもそもこのヒョウが産まれてから目がなかったかも。マリカのこともよくわからない。手術が失敗して目が変形したかましれない。
  そうやって二人の人生を歩み始めた。
  5年後、玄関にマリカの両親が見えた。二人は猫の目をした少女の手を握っていた。。。
  
  アオイと鯉 Аой и кои
  
  「一日の不安を全て吐き出して、澄んだ良心が残る。街中の公園で鯉を見ている時と同じの感覚だ。魚に餌を投げると、全部食べて泳ぎ去っていく。きれいな澄んだ水だけが残る。」という風にアオイが湖の岸辺に座りながら考えていた。
  「アオイちゃん、そろそろ帰る?」と学校の友達が読んでいた。
  「まだ、先に帰って」とアオイがいつも答えていた。
  クラスの他の女の子とは違っていた。髪が白くて細い体と長い腕の子だった。女の子が着物を着ることが好きだった、白黒の魚が描かれている着物だ。鯉が好きだった。鯉以外はダメだった。
  
  ***
  
  アオイは湖岸で座っていた。暑い日だったので、魚が浅場で日向ぼっこしているようだった。アオイの着物が水にかかっていた。裾の白黒魚が動き出したことに気づいた。魚がゆっくりと着物の端のほうへ泳ぎ、水に近づいていった。湖に住んでいる鮮やかな魚も少女に近づいてきた。魚達はお互いじっと見ていた。一匹の若い白い魚が湖に飛び込んだ。アオイの目の前で、魚の色が変わり始めた。
  初めに赤い斑点が出て、次に黄色い斑点、最後にピンクの横が光った。黒色の魚も湖に飛び込んだ。間もなく魚の体は色づいた。5分後、着物には鯉が一匹も残っていなかった。
  「奇跡だわ!」少女が叫んだ。
  
  岸辺で本物の色のついた鯉が泳いでいた。女の子の腕に飛びかかり、肌に沿って泳いだ。
  「私、水槽みたい。」とアオイは思った。
  さらに何匹かの色のついた魚が少女の体に飛びつき、そこを泳ぎ始めた。
  「不思議だわ。」とアオイは思った。「でもどうやって帰ればいいのかなぁ?」
  
  ***
  
  アオイは体育の授業が一番苦手だった。友人達は、少女の体にいる鯉を見てしまうかもしれないからだ。家でもアオイは引きこもるようになった。親の助けを借りずに、自分の力ですべてをやろうとしていた。
  母と父にバレたら、医者のところに連れていかれるからだった。医者だって、何を言う?何ものだ。首都にある大きな病院へ行かせるだけだ。首都できっと手術なんかをするけど、役に立たないでしょう。鯉は恒久に一緒に生きる。それは、アオイには良く分かっていた。
  ある日、アオイは夜中に目を覚ました。魚の動きを感じた。殆ど感じ取れないほどやさしい動きだった。
  気持ちの良いもので、痛くもなかった。
  敏感なところに近づくと、アオイの息が深くなってきた。時々、ちくっとして無意識で震えていた。彼女はデリケートな場所から魚を追い出そうとしたが、無駄だった。
  ある日、この震えは夕食の時に起こった。両親は理由を聞いてきた。女の子は寒いと言って部屋に行ってしまった。
  数ヶ月後、魚の数が増えてきたので、彼女の体は狭くなってきた。アオイは、今度親や友達が隣にいるのに魚たちがアオイの顔を泳ぐかもしれないのを恐れていた。
  アオイは学校に行くのをやめて部屋に引きこもった。両親は娘の変な行動を理解できなかった。少女は何も話さない、助けを拒み、ベッドで食事をしていた。
  
  ***
  
  半年が経った。アオイはベッドで横になっていた。全身が魚達に覆われていた。色付きの鯉の繁殖地のようだった。もちろん、やがて両親は知った。アオイはすべてを打ち明けざるを得なかった。
  ある日、アオイは奇妙なことに気づいた。それは、魚は彼女の白い髪を泳いでいないことだった。彼女は一日中髪の毛を見ていたが、魚を見たことはなかった。
  「これが唯一のチャンスに違いない。でないと私も魚になってしまう。」
  数日後、アオイの部屋を誰かがノックした。そこには、白い髪と痩せた腕の少女が立っていた。
  「私はリンです。前私が救われたので、今度貴方を私が助けます。」
  リンはアオイに魚の扱い方や縮め方や誘導の仕方を教えた。アオイは徐々に普段の生活に戻り始めた。すぐに他の女の子にも会った。みんな髪が痩せていた。それぞれに秘密のスプートニクがいた。
  
  幽霊のキス Поцелуй призрака.
  
  森の中は暗かったが、怖くなかった。手の甲のように、ここの道はすべて知っているからだ。その森の近くで育った。
  この先には渓谷と林流があるのは知っていた。地元の人たちは、その上に小さな橋を作った。森の真ん中に大きな原っぱがあるでしょう。誰かがそこで花火を打ち上げたようだ。不思議なことだが、明るいフラッシュやライトは見えなかったのだ。見知らぬ人を怯えさせないように、ゆっくりと歩いた。木々の間から原っぱが見えた。一歩進むと、異世界で立っていた。
  光が見えた!打ち上げ花火は空高く舞い上がり、数千個の星に爆発し、冷たい地面に落ちていた。
  私は空を見つめてじっとしていた。閃光の中を白鯨が飛んでいた。最初は信じられず、目をつぶって指を噛んだが、クジラは消えなかった。巨大な白鯨が燃えるような空に突き刺さっていた。
  現実に起きていると分かっていた。私は勇気を試すために、自ら夜の森に来たのだ。
  徐々に光の焦点が地面に落ち始め、花火が低く飛んだが、クジラが泳ぎ続けた。誰が花火を打ち上げていたのかが見えた。
  少女は七夕祭りから帰ってきたばかりのように浴衣を着ていた。13か15歳に見えていた。 髪は長くて目は大きかった。唇はゆっくりと動いていたが、言葉は聞こえなかった。少女は花火とクジラを衣装に引っ張り込んでいるようだった。真っ暗だ。私は地面に落ちてしまった。
  でも、森の中心まで来たので、勇気試しは大成功!後は家へ帰るだけだった。
  「帰らないで」と声がした。
  私は叫んだ。叫んで逃げることしかできなかった。走って、転んで、また走った。橋が消え、小川は轟音の激流となった。何度も水中の岩にぶつかって、びしょ濡れになった私が川から出ていた。渓谷は万里の長城のようだった。大変な苦労をして頂上まで登って、また走った。自転車を置いてきた小さな林に着いたが、もうなくなっていた。鐘の音が聞こえてきた。自転車を見つけると、女の子が乗っていた。
  「なぜ帰るの?私と遊びたくないの?ここは寂しい。私が一人ぼっち。貴方の叫び声にビビった。」
  彼女の息を感じ、彼女の手が私の背中を触っていた。
  「帰らないで、お願い」
  肘で押して少女は倒れた。自転車に乗って家に帰った。
  
  ***
  
  怖くなって逃げたのだ。でも彼女は幽霊だし、幽霊は存在しない。誰も信じてくれない。おそらく、都市伝説はそうやって作られているのでしょう。
  「ねえ、ユーリ、その顔どうしたの?」と学校の友人に聞いた。
  友人の目の下に痣があった。ファンデーションで隠していた。
  「ああ、心配するな。昨夜はベッドから落ちて。」
  ユーリに昨夜の散歩のことを話した。
  「スゲーな、本当にうちの森には幽霊がいるのか?」
  
  学校では、友達全員が顔に傷を負っていたこと以外は、いつもと同じだった。みんなの仕業かな?誰かが転んだ、誰かが滑った、みんながそれぞれの違う話をしていた。
  気持ちが悪くなった。顔が割れた幽霊を想像してしまった。なぜこのような偶然が起こるのでしょう。
  
  夜、目が覚ましたら窓の外を見た。そこには一人の少女が立っていた。彼女はブラックライトを打ち上げていた。怖くて、どうしたらいいかわからなかった。
  
  「謝って!」という声が聞こえてきた。「森の中で置き去りにしたから傷ついた。なぜ逃げたの?」
  「怖かったのだ。」
  「大人でしょう?!」
  振り向かず幽霊を見てなかった。
  「何をして欲しいの?ほっといてくれよ」と頼んだ。「私は普通の学生に過ぎないのだ。」
  「私を傷つけたので、貴方の顔を殴りに来た。」
  「分かった。そうしたら、帰ってくれる?」
  振り向いた。少女は私を見て、彼女の目が黒く膨らんでいた。
  「女の子を殴るなんて、ひどい。傷ついたわ。」
  「君は幽霊だ。」
  「だから何?痛みを感じないわけ?仕返しをしようと思っていた。だが、意味がない。だって、貴方は逃げ出して隠れた臆病者だ。人ってどれだけ弱いのか。」
  恥ずかしくなった私は言った。
  「ごめんなさい。悪かった。」
  幽霊は頷いた。
  「私もビックリさせてしまったようだね。」
  突然彼女の目は正常になった。
  「それでも、罰を受けなければならない。」
  「罰って?」
  「30年間、夜の森で花火に火をつける。毎月の13日の日にね。一日でも来なかったら、一生幽霊になってしまう。」
  私たちの小さな町では多くのが変わってきた。友人は引っ越して結婚し、子供も作った。だが、私の人生は何も変わっていない。月に一回、花火を打ち上げている。空を見上げると白いクジラを眺めている。私は、街の一部になり、森の一部にもなった。自分が何歳なのか忘れてしまった。どうやって生きているか?まあ、簡単のだ。親や近所の人や学校の人が助けてくれる。彼らは私のことを健康ではないと思っているだろうが、私はもう気にしていない。幽霊に恩返しをしなければならないと覚えているからだ。あの子もそばにいる。仲良くなった。毎日会えればいいのだが、月に一度しか会えない。
  
  ***
  
  「子供の頃に戻りたい?初めて会ったあの夜に?」と最後の花火をつけた私に聞いた。
  「いいえ、私の人生は無駄ではなかったのだ。なぜなら、君に出会えたからだ。」
  「なら、良いよ。」と目が大きな少女は言った。
  彼女が近寄ってきてキスをしてくれた。彼女のキスは欲しかったし、興奮した。
  「なら、良いよ。」と彼女はまた言った。「貴方はもう永遠に私のものだ。」
  私たちが白鯨に飲み込まれた。
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