Murami Mikhail :
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私は幽霊と話した
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Murami Mikhail
Размещен: 17/03/2021, изменен: 17/03/2021. 185k.
Статистика.
Сборник рассказов
:
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Предисловие к первому изданию
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小さな友人の幽霊 Маленький друг Призрак.
あの夜はずっと眠れなかった。ベッドに横たわり、天井を見ていた。夜は窓から部屋の中へゆっくりと流れ込んでいた。墨汁のように、暗闇はすべての側面から私を覆った。暗がりを振り払おうとしたが、力は衰え、沈みかけていた。もっと深く、もっともっと深く。。。
突然、ギターの弦を叩く音がした。弦は、大雑把で不器用に引っ張られていた。金属の音が闇を細かく引き裂き、夜が去っていった。
私がベッドから降りて、ドアを少し開けてみた。誰かがホールでギターを弾いていた。
私が、昨夜田舎の家に一人で過ごした。静かな場所だし、誰も入り込めないほど優秀な警報システムも稼働している。
でも、弦の音ははっきりと聞こえていた。
一階のホールに降りて、ドアの前でつい固まって動けなかった。
その時、素晴らしいアイデアが思いついた。それは、ホールに突っ込んで大声で悲鳴を上げようと思った。そうすれば侵入者が怖がって逃げるだろう。
あわててドアを突き破り、数メートル飛んで部屋を横切って叫んだが
無駄だった。
音がする場所へ近づき、体が震えた。ピノキオのようなプラスチックでできているおもちゃが、小さなギターの弦を引っ張りながら椅子の上で座っていた。
一瞬目を細めたら、おもちゃが消えてしまった。
自分の臆病さに腹が立った。おもちゃの男子を怖がるなんて?
今度、私の部屋からギターの音がした。
「素晴らしい」と私が叫んだ。「まあ、確かに怖かったよ、でももう冗談をやめて、早く出てきてくれ!」
音が途絶え、少年の声が聞こえてきた。
「嫌なら、自分が出ていけ!」
そのとき、私が何をすべきかをよくわかった。
走るのだ、走るだけだ!
玄関のドアを開けて、夜に飛び込んだら感じた。
感じたのは、顔に熱が伝わってくることだった。それから、気を失った。
目を覚ました時、私がドアの前だった。ドアは閉まっていて、窓の外は昼間だった。
ということで、ドアを叩いて鼻を折った。でも、大きく開いたのははっきり覚えている。
新鮮な空気を吸いに外へ出たら、男の子がいた。10歳くらいに見えた。
「昨日の夜、私を怖がらせたのは君だった?」と聞いてみた。
「退屈だった。」と答えた。「だから怖がらせようと思ったのだ。」
「君が幽霊なの?」
「うん」と彼が頷いた。
「変だね。家の中に幽霊がいると話してくれなかったのは何故でしょう。」
「それは、誰にも顔を見せないからだ。お前の方が例外だ。」
「どうして?」
「まあ、作家なのだから想像力が豊かなのだよね。今のを書いて、内容を磨いて、最後に怖い怪談が出来上がる」。
同意した。
「しばらく一緒にいてくれる?」と少年が尋ねた。
チェスやモノポリーなどのボードゲームをしたり、本を読んだり、庭で遊んだりした。一瞬、休暇が2週間しかないことを忘れてしまった。それから新しいゲームを考えた。
「ちびちゃん、新しいゲームを知っているよ。」
少年が近づいてきて、うなずいた。
「お話を聞かせて頂戴。面白かったら、君の勝ちだ。」
「やってみる。」
その後、幽霊は私を放っておかなかった。新しいお話がどんどん流れてきていた。次々ともっともっと面白い話だった。
人間の作家の話と幽霊の話とどう違うか知っているか?幽霊が作った話がみんな真実だ。
少年は私に幽霊孤児院の話をし始めた。
「孤児院の管理人さんはとても厳しい。遊ばせてくれないし、読ませてくれない。幽霊にとっての最悪の罰は沈黙だ。何日も話すことを禁じられている。
私たち幽霊にとって、コミュニケーションはご飯のようだ。孤児院の幽霊はみんな沈黙を恐れている。私は、3日間話してはいけないお仕置きをされたことがある。」
「3日間だけ?」と私が確かめた。
「人間の貴方にとっては、たったの三日間だけなのだが、幽霊にとっては、永遠のようだ。結局、耐えられず逃げたのだ。」
「どうやって逃げた?」と私が驚いた。
「壁を抜けて夜の中に消えた。」
「そして、誰もあなたを追いかけてこなかった。」
「こなかった。」
「どうして?」
「しばらく経ってから、理由がわかった。」
「で?」
「誰とも話していなかったからだ。」
「どうして?」
「一匹狼は好かれないの。私は話し相手が見つからなかった。まあ、この理由で孤児院から逃げる物がいないのだけど。」
「いつからここにいるの?」
「一ヶ月前、この家を見つけた。貴方がいなかったら、私はどうなっていたか想像もしたくない。」
「どういうこと?」
「まあ、幽霊にしては終わりということだよ。地球のアーカイブから削除されるのだ。」
「誰が削除する?」
「それを考えないほうがいい、複雑だから。今の私は幽霊で、情報でもある。でも、情報が削除されると、私も消えるでしょう。ということで、貴方は私を救ってくれたことになる。」
「私はもうそろそろ帰らなくては、」と伝えることにした。
「じゃ、孤児院までおくってくれる?」
「どこにあるの?」
「Short dayとLong nightの間だ。」
この通りの交差点に何の建物があったのかを思い出し始めたが、パン屋以外何も思い出せなかった。彼は私の考えを推測した。
「幽霊の孤児院が生きている人には見えないのだ。お店の中を通って、中庭に行くと、古いランドリールームがある。 それが私たちの孤児院のだ。私にとっては、学校や家のように見えるのだ。」
「分かった。じゃ、行こう。」
休暇の最後の2週間の間、分厚いノートを何冊も書いた。これは、幽霊の友達が話してくれたストーリーだった。止まることなく私に語ってくれた。紙が足りなくなったときに、「ストップ。終わりにしよう。もう無理だ。」と言った。
少年は理解してくれた。彼が二階へ上り、荷物を集めてホールへ戻った。
すぐに幽霊と私は、永久に田舎の家から出て行った。今はすっかり空っぽになっているはずだ。
「私のことを忘れないでね」と少年が言った。
古いランドリールームの前に立っていた。
「君のお話を全部書いておいた。」
幽霊は微笑んだ。
「じゃ、またね」と彼が言った。
「またいつかね」と私は答えた。
帰宅したら、コメントやメモを考慮してお話を全て丁寧に書き直した。これで読者のみんなが幽霊の友達のお話を読むことができるでしょう。
クロエ Хлоя.
人生の流れの中で二人の心が一つになる瞬間がある。二つの星のように、夜空を一緒に飛び交う。二人の軌道は決して交わることはないが、お互いに与えたエネルギーは永遠に心に残る。
別れの時がいつ来るかわからないが、決して避けられないものだ。その際は、お互いに光を与え合い、永遠に離れていくべし。
温かい思い出を残しておくといい。誰にも分からないが、もしかしたら冷たい親密さの中で温めてくれるかもしれない。
そばにいる人が幽霊になり、遠く離れている人が親しくなる。
***
街の中心部にある小さなカフェにいた。
「何にする?」と聞いてみた。
「コーヒーグラッセとロールパンで」
「後は?」
クロエは左右に首を振った。長いブロンド髪で大きな青い瞳の美少女が見えた。彼女はいつも膝下のニットワンピースに白い靴下と黒いヒールを履いてここにいる。
コーヒーとパンがきた。クロエが美味しそうに食べ始め、私がカプチーノとフライドポテトを頼んだ。私の好きな組み合わせのだ。ハンバーグを加えれば天下一品になるところだ。
「クロエ、今夜の予定は?」
彼女が尋ねなくてもわかるだろうと言う視線を私の方にぱっと向けた。
彼女は毎晩、プードルと一緒に街を散歩していた。鎖につながれた大きな白い犬と幽霊の女の子はお似合いだった。
「人はいつも急いでいる」とクロエの言い癖だった。「人は遅刻を恐れているが、実は老後を早めているだけなのだ。」
いつも同意して頷いている私に、少女は言い加えていた。
「どこへも急がなければ遅刻することはない。」
人生の話をするとき、彼女はいつもこう言っていた。
「何百もの顔が私の目を通り過ぎ、何百もの声が私の耳を届き、何千もの匂いが私の鼻に感じ取れられる。そして、すべてが満月に向けて急いでいる。私は幽霊で、貴方たちの世界を違う目で見ている。私とロック君」
「プードルの名前はロックだったのだね」と初めて犬の名前を聞いて思った。
プードルは私たちのテーブルの下でぐっすり眠っていた。賢い目をした大きな白い獣だった。
「ロック君、ソーセージを食べるのか?」と聞いてみた。
「冗談しているのか?」と少女が答えた。「私たち幽霊は食べる必要はない。食べ物を無駄にしないで。」
私は黙り込み、クロエが新たな格言を話してくれた。
「虚しさを愛し、力を尽くしても、その虚しさの中にすべての代償が消えていくことがある。虚空に向かって叫んでも、それに応えて沈黙だけだ。そうでしょう?」
どう答えたらいいのか分からなかった。
クロエは7歳に見えたが、幽霊の本当の年齢は知らなかった。
「理解できない」と少女は続けた。「どうして私は隣にいると人間なのに、離れると幽霊になってしまうのでしょうか?どうしてこんな力があるの?貴方は誰?」
「普通の人間だと思うけど」
「自分を見下さないで。貴方は有名な翻訳者で、5ヶ国語も話せるのだよ。"普通の人"というのを超えているわ。」
ある日、クロエに聞かれた。
「バーのお姉さんは私が幽霊だと知っている?」
「リスちゃんは私のことを知っていて、私はリスちゃんのことを知っている。それだけだ。」
「なら、知らないのだね。」と少女は結論づけた。「彼女はあなたのことをよく知らないということだね。どうすれば人のすべてを知ることができるのか?必要なのか?どんな人にも必ず何かしらの謎があるといいのに。」
頷いて尋ねた。
「クロエ、君は何歳?」
今日は幽霊に会ってからちょうど一年だ。あの日は、いつものようにお気に入りのカフェで座っていた。 リスちゃんは、私にコーヒーを注いでくれていた。二人で下らない事をおしゃべりしていた。窓の外は、秋の雨が霧雨のように降っていた。通りの向こう側は、屋根の下で小さな女の子が立っていた。彼女は白いおもちゃの犬か熊かを抱っこしていた。
「リス、女の子がいる。」
「雨のせいで何も見えないわ。」
もう一度見てみて言った。
「おもちゃの熊を持っている女の子がいるに違いない。あのう、大きなタオルを持ってきてくれる? 」
リスちゃんが取りに行ったら、私は外へ急いで出た。
数分後、子犬を抱っこしていた小さな女の子をカフェに連れてきた。
リスちゃんがタオルを持ってきてくれたので、子供を頭から爪先までタオルで羽織った。
「お名前は?迷子になっちゃった?寒い?」
口から質問がどっさりと出てきた。少女はしばらく耳を傾けていたが、その後落ち着いて答えた。
「迷っていないし、お腹も空いていない。貴方が望んでいたから来た。」
何を言えばいいか分からなかった。
「クロエ、君がおいくつ?」と繰り返して聞いた。
「私は7歳だよ。」と元気に答えたら、悲しそうな声で付け加えた。
「分かるかなぁ。今貴方と一緒にこういられてうれしいのだ。今みたいに同じテーブルで。この先はどうなるか分からないので、この瞬間を大切にしてほしい。貴方は写真家だと想像して、その瞬間の写真を撮って一生の記憶にとどめておくといい。」
彼女は絶対に7歳じゃない。子供があんな話し方ができるわけない。
リスちゃんが近づいてきて、隣に座った。
「何の話?」と聞かれた。
「人生についての。」と答えた。
「つまらないね」と彼女ががっかりしたように言った。「映画や音楽のことだと思っていた。」
「リスおばさん、」と少女は尋ねた。「人にしてくれないでしょうか。」
リスちゃんは私を見たら、彼女が疑問を一つ持っていたようだった。それは、「何が起きているの?」という疑問だ。
「リス、聞いて頂戴、この子は普通の子じゃないのだ。彼女は幽霊で、この町で一番孤独な幽霊だ。」
リスちゃんは少女を見てこう言った。
「どうして何も言わなかったの?」
「話しても、何も変わらないわ。」
「なるほど」とリスは言った。
この言葉を聞いて、ロック君ですら目を覚ました。
「クロエ、どこにも行かないでここにいてくれ。そして、あなたは私についてきて、車のことで手伝ってちょうだい」とリスちゃんが私を指で差して頼んだ。
「でも、車を持っていないでしょう?」と私は驚いた。
「もう、持っている!」とリスちゃんが私の手を引っ張ると、私は椅子から飛び起きた。
「車はどこだ?」
私たちは喫茶店の裏の空き地に立っていた。
「彼女は本当に幽霊なのか?」とリスちゃんが質問してきた。
「そう、普通のゴーストベイビーだ。」
「他の人には彼女が見えないのか?」
「そう、リス、君と俺だけだ。」
「私たちだけ?」とリスは確かめた。
「そう」
リスちゃんは私を見て言った。
「今週末、クロエと一緒に遊びに来ないか?」
私はうなずいた。
リスちゃんはいい子だけど、カップルになれない。喫茶店で会って、閉店時間まで数時間ほどおしゃべりして帰るだけのだ。家まで見送ってあげることすらない。彼女が自分でそう頼んだ。恋に落ちて常識を失うのが怖いのかもしれない。
彼氏がいるかどうかもわからない。そして、彼女は私のことも何も知らない。でも、そちらの読者さんに自分のことを教えてみる。信頼してもいいよね?
私は30歳の翻訳者だ。5ヶ国語を話し、大学で働き、一人暮らしをしていて、車が嫌いだ。みんながそれぞれ自分の役割を果たすべきという風に考えている。私の役割は外国語のだ。ドライバーの役割は車を運転することのだ。賛成していないかもしれないが、これは私の主義だ。私の記憶は膨大な数の外国語の単語を持ち、空きスペースはもうない。
自分の分野の達人になれば、すべての道が開かれるでしょう。
リスちゃん家のドアは閉まっていた。
「もう一度ノックしてみたら?」とクロエは提案した。
「はーい!」と後ろから声がした。
もしかしたらリスちゃんも幽霊なのかもしれないとつい思った。
「お待たせ」とリスちゃんが心配して言った。
「いいえ」とクロエが答えた。
「では、中に入ってもいいかな」と私が言い、リスちゃんがドアを開けてくれた。
喫茶店の店員にしてはすごすぎる家だった。小さなアパートには、旧世界の本が全て保管されていた。ヨーロッパ各国語の古書が棚に整然と並べられていた。
「言わなかったね。」
「休みの時間の過ごし方。歴史雑誌の記事を書いたり、ラテン語を少し翻訳したりしているよ。」
「喫茶店でのお仕事は?」
「普通の人の中で目立たないようにするためだよ。わかるかな?」
私が頷くと、クロエが尋ねた。
「リスおばさん、夕食は?」
リスちゃんはウインクして答えた。
「最近、古代フォリオの翻訳をしていて、珍しいレシピを知った。」
リスちゃんは頭がいい子だと分かったが、なぜ彼女が私たちを呼んだのかは謎だった。
「リスおばさんのチキンリブは美食の芸術の傑作だわ!」
「シーザー様のレシピだよ。」
「アヴェ、シーザー様」とクロエは口をそろえて言った。
「クロエ、そんな言い方はよくない」と私が教えた。
少女は笑った。
「私の場合は、お行儀の話はしない方がいいと思う。幽霊なので、すべてが見えて、すべてを知っている。しかし、私の経験では、そのような人生が退屈ですぐ飽きてしまう。何でも知っていて、どこにでもいながらも、黙っていること、何も言わないことこそ一番悔しいのよ。人の悩みの種の捨て場になってしまった。大きな老朽化した捨て場のだ。」
「クロエ、そんなこと言わないで」とリスちゃんは言った。「私たちはあなたのことが好きだし、大切に思っている。君は私たちが最も愛する幽霊のだ。」
リスちゃんが私の方へ視線を向けた。
「私もそう思うよ。」
「なら、私たちの知事の秘密を教えてあげる。」
「リス、私たちを遊びに読んだ理由は何?」と、幽霊の話を邪魔してしまった。
クロエは起こった顔で私を見たが、何も言わなかった。
「貴方たちともっと仲良くなりたかったためだよ。普段、家でくつろいだ時、どんなひとかを知るためだった。」
「私には家がないの」とクロエは注意した。
「そして、私は大きな鼾をかいているよ。」と私が言い加えた。
「なるほど」とリスちゃんは言った。
私は思わず微笑んでしまった。
「リス、私は一人暮らしをしている。君が働いているお店でコーヒーを飲んで、その他の時間は仕事だ。」
リスちゃんは頷いた。
「そういえば、私は犬が大好きなの」とクロエは言った。
「じゃ、一緒に暮らそう?」とリスちゃんが進めた。
どの言語のでも言葉を失った。
そろそろ帰る時だった。クロエが先に歩き、私は後ろをよちよち歩いていた。突然、少女は立ち止まり、私の目を見て尋ねた。
「彼女と一緒に暮らしたい?」
私はうなずいた。
「なら、私が消える。」
「いけないの?」
「そう、ダメ」とクロエは声を大きくした。「二人は自分だけの生活ができ、子供も生まれ、愛であふれた生活を送るでしょう。」
「できるかな。」
「私たちが出会ったのに何かしらの理由があったではないかと思う。あなたは私を必要とし、私はあなたを必要としていた。運命が私たちを会わせてくれたのは嬉しいのだが、今はお別れの時だ。」
「君は?」
「幽霊には過去も未来もない。私にとって、時間というものはただの音に過ぎない。別の人に見えるようになり、あなたは別者になる。世界が変わっていくのは必然のだ。人生と呼ばれるバスのハンドルをしっかり握って頂戴。」
「いつ消えるの?」
「リスおばさんの手を握ってキスをしたときだ。キスになって、彼女の唇の上で溶けて消えていく。」
一年後、リスちゃんと私には娘が生まれた。
鯉 Кои.
「とても静かに座っていれば、魚は必ず岸まで来てくれるよ。」
「じゃ、とっても静かに座るよ」とナオカが言った。
「寝るなよ、お嬢ちゃん」とパパが笑った。
「約束する!」と娘が叫んで湖の方へ走った。
ナオカが岸辺に薄手の毛布を広げ、うつ伏せになって待っていた。
水は透明だった。小さな女の子が色とりどりの小石や貝殻、金色の砂を見ていた。時々、緑藻やヒゲのあるエビもあった。
30分がしたら、ナオカはあくびを始めた。1時間が経つと、彼女はもうぐっすりと寝ていた。
その時、色鮮やかな魚が見えてきた。背中に赤、白、黄色の斑点が交互に入っていた。これは、最も純粋な淡水で生きている美しい魚でもいる鯉だった。
魚はしばらく土手に沿って泳ぎ、少女を見たら去っていった。
ナオカは最後の一匹の尻尾を見ることしかできなかった。
「もう。寝ちゃって全部を見逃してしまった。パパがまた私をからかうでしょう。」と少女はがっかりしていた。
ナオカは毛布を畳んで家へ帰った。
「毎回こうなのだ。面白いものを見たいと思うたびに、必ず寝てしまう。」と少女が思った。「一睡もしないことが出来ればいいのに。睡眠っていったい何のためなのでしょう?」
「そんな悲しそうな顔、どうしたの?」と母が夕食時に尋ねた。
ナオカはパパを見た。
「うちの子は魚を見たかったが、浜辺で居眠りをしてしまった。」
「まあ、次の機会に必ず見られるよ。」
「ママ、湖に行くのはもう5回目だよ。毎回寝ちゃう。寝ないで鯉が見たいの。」
「きっと見られるわ。夢の中とか。」